先日、何故かお天気の良いとある日に、UV対策ナッシングで2時間以上ホーチミン廟〜タイ湖周りを散歩して、こんがりと焼けてしまったhanocoです。
ほんと、うっかり。やってしまったわ・・・
さて!
唐突ですが、私はお茶が大好き。
そしてハスの花も大好き。
両方とも、私の故郷の名物なんです。
ということで…
スケッチで紹介されていた素敵すぎる企画”ハス茶作り体験”に行ってきましたよ。
今日はベトナム茶館Hien Minh Tea(ヒエンミンティー)さんで6月中受け入れてくれる、ハス茶作り体験についてのレポートです
ついつい気合いが入り長くなってしまいましたので…お時間のある方のみお付き合いくださいませ(^▽^;)
主催してくれるHien Minh Teaさんは、ハノイ最大の湖”タイ湖”の南西にあるCau Giayエリア(コウザイ)にひっそりと佇んでおります。
半年ほど前にご夫婦で始めたという、品のある隠れ家茶館。
▼店内も素敵にこじんまりと…
大きなウッドテーブルに、本物の切り株の椅子。
飾りすぎることなく、落ち着いたディスプレイがされています。
▼カウンターの奥に並ぶお茶や茶器
ベトナム茶、中国茶、そして一保堂の抹茶までありました(贈り物だそう)。
ちょっぴり分かりにくい場所にあるヒエンミンティーさん。
▼Vinh Phuc通りの路地の中にあります
表通りから数本奥に入った、静かな住宅街に…
▼ひっそりと佇む一軒家
正直、フラフラ歩いているだけでは通り過ぎます。
車で目の前まで来ることができますが、タクシーはGoogle Mapでも見つつこちらが案内しないと、ちょっとたどり着けないご様子でした。
(すんなりたどり着くタクシードライバーもいます)
▼山になっているハスの花が目印
今の時期ならば、店頭に干されている鮮やかなピンク色の蓮の花びらが目印。
何一つ捨てるところがないという蓮。
この花びらも花茶にするのだそうですよ。
さて、蓮茶作り体験は、まずはご主人のHongさんによるお茶のレクチャーから始まります。
こちらのご主人、ベトナムで数少ないティーマスター(茶匠?)の称号の持ち主。
お茶や蓮にまつわるお話や、淹れ方のポイントについてお話しながら、茶匠による茶藝が静かに進められていきます。
(ちなみに、肌ツヤツヤで可愛らしい奥様Yenさんが英語通訳してくれます)
今回は、最も有名な蓮茶、蓮の香り付けがされた緑茶をいただきました。
ベトナムは大半が日本と同じ緑茶文化です。
▼無駄がなく静かなご主人
▼丁寧に淹れられる自家製の蓮茶
▼とても澄んだ薄い水色。
一煎目。
緑茶ならではの、優しい水色。
そして、上品で、甘く、優しい花の香り。
全く渋みのない、やわらかな口当たり。
茶葉の状態のときもそうだったのですが、質の良い蓮茶は本当に甘みのある上品な…でも濃厚な香りがします。
1kgの蓮茶を作るのに、なんと1000個の蓮の花が必要とのこと。
しかも、後ほどご報告しますが伝統的な蓮茶を作るのに使うのは、蓮の花のうちほんの限られた部分のみ。
それを全て手作業で行うのです。
その昔、蓮茶は王族のみが口にすることを許された貴重品。
ベトナム茶の名産地ハザン省にある高山で取られる銘木のお茶と、湖の中から生まれる蓮の花。
そんなスペシャルなコラボレーションから生まれるのがベトナムの蓮茶なのだそうです
なんだかすごい。
さて、ベトナムのお茶も中国茶同様何煎もいただくことができまして。
一煎目が香りを楽しむお茶ならば…
二煎目は香りと味両方を楽しめる最高の一杯。
ベトナム茶の楽しみ方は、口に含んで2〜3秒待ち、鼻から頭に広がっていく風味を感じます。
そして、飲み込んだときに、体全体に広がる風味を楽しむそう。
この蓮茶は、さっぱりとした口当たりながら、飲み込んだ後もずっと自然の甘みが残ります。
後味はスッキリ爽やかなのに、まろやか。
食道もスッと浄化された気がします。
おいしく、渋みのない蓮茶を煎れるためのポイントは4つ。
①茶葉のクオリティ
②お水の質(相性)
③温度と時間
④茶器
・・・です。
世界のお茶共通のセオリーですね。
こちらのHien Minh Teaさんでは、茶葉の質はもちろん、全てのエレメンツに丁寧に向き合っていらっしゃいました。
ちなみに、お茶を煎れる時の水温は緑茶の適温である70度〜80度が目安。
ただし、これも茶葉の状態や質によって変わるといいますから、難しいところですよね。
そして、まろやかさの増す三煎目が出される頃合いに、お菓子も登場してまいりましたよ
▼こちらも自家製のベトナム伝統菓子
可愛いバッチャンの盛られたベトナム菓子
ベトナム茶をいただく場合、お菓子は三煎目あたりからいただくのが良いそうですよ。
二煎目までは、香りや繊細な味を楽しむのに集中するのだとか。
たしかに、繊細で良質な蓮茶の風味はショウガやナッツなどを多用したベトナム菓子に負けてしまいます。
でも、緑茶は結構強いので、胃を守るためにも、そして新鮮な感覚を保つためにもお菓子はとても大事。
お茶とお菓子を交互に飲んだり食べたりして良いそうです。
ちなみに今日のお菓子は2種類。
一つ目(左側)は、ショウガともち米、バナナ、ピーナッツを練り込んで作った餅菓子。
二つ目はベトナムを代表する伝統菓子ピーナッツキャンディ。
こちらのご主人のご実家は、6代に渡ってこのピーナッツキャンディを作る老舗の家だそうで、甘すぎず優しい味のするこちらのお菓子に、hanocoさんファンになってしまいました
ところで!
少々話が飛びますが、こちらの茶藝館で使われている茶器についてちょっと注目してみましょう!
ご主人がテーブルをセッティングしてくださっている間にまず気になったのが・・・
▼これ!!
え、茶杓?(笑)
日本の茶道で使う茶杓にそっくりです。
茶杓や急須の蓋置きには、白い珊瑚。
素敵です。
そして。
▼おりん??
ベトナム茶藝は、基本的に中国茶藝に共通しています。
なので、使われる道具もほぼ中国茶器。
そこに登場してきたのが、この日本風の茶杓と謎のおりん…。
聞いてみましたところ、茶杓は以前、ご夫婦が京都を訪れた際に出会った茶道具を元に、ハノイの竹細工職人に作らせたものだそう。
やっぱり日本のものを応用されてたんですね。
ちなみに、とても便利だそうです(笑)
大振りなおりんは、なんとネパールのもの!
コーンと音をさせてからクルクルとゆっくりとリン棒を撫で付けると、不思議な音が広がっていくヒーリンググッズです。
ご主人がやると、音はどんどんと大きく、深く広がっていくのですが、ど素人の私がやるとみるみる音が萎んでいきます…
雑念まみれなのがいけないのかしら
こちらのご主人、伝統的なベトナム茶を大切にしつつ、世界の仏教や禅宗、茶藝(道)の根底に繋がるものを見出すために世界各地のものを取り入れていらっしゃいます。
そのため、お店に置かれている茶道具も日本、中国、ベトナムを使い勝手の良いようにミックスされていて、なんとも言えない心地よさを感じました。
日本の茶道に繋がるものがあります。
さて、そろそろ蓮茶作り体験へ移ろうというとき・・・
▼お店に何かが届きました!
なんとこれ、蓮の花!!
袋いっぱいに詰められた蓮の花。
1日約1000個の蓮の花を、奥様Yenさんのご実家から取り寄せられているそうです(タイ湖の蓮ではありませんでした)。
それでは、いよいよ蓮茶作りを体験すべくお2階へ。
2階にある小部屋を開けますと・・・
▼蓮の山!
蓮茶に使う蓮の花は、贅沢にもまだ一度も開いていない蕾を使うそう。
▼これでももうギリギリな開き具合・・・
▼握りこぶし程度の可愛いらしい蕾
さて、ここからの作業は、茶葉に蓮の香りを移すために使う部分を取り出す工程。
①まず、大きめの花びらを落とす
→化粧品などに使われる
②内側に重なる小さめの花びらを選別する
→こちらも花茶として使われるそう
▼こんな感じ
④花托(シャワーヘッドのような中心部分)を取り除く
→これまたお薬などに使います
⑤雌しべの先端についた白い部分だけ取り出す
▼このように・・・
膝の上に蓮の葉を広げて作業をします。
まずは、この作業がとても大事。
花を傷つけないように。
触りすぎて、時間をかけて風味が飛ばないように。
毎日香り高い新鮮な蓮の花を使って、黙々と作業を進めるそうです。
この雌しべの先端部分と、良質の緑茶(白さの残る新芽部分も混ざった高級茶)を合わせて、何度も何度も乾燥と風味付けを繰り返し3週間ほどでやっと少しの蓮茶が出来上がるそう。
これが古来から伝わる「本物の蓮茶」。
うーん、王族しか飲めなかったはずだ。
さて、この伝統製法に加えてもう一つ、「インスタント製法」なるものも存在します。
ハノイの蓮畑でも売られていますが、蓮の蕾の中に茶葉を閉じ込めた、見た目にも可愛らしい蓮茶です
▼作り方は至ってシンプル!
微かに、ほんの微かに開き始めた(いや、今まさに開こうかしら?と思っているぐらいの)蕾。
この蕾の真ん中にそっと手を入れて、核の部分にそ〜〜っと茶葉を入れ込みます。
広げてしまった蕾を、元の形に戻すように優しく閉じたら・・・
▼できあがり
一見何も変わっていませんが、蕾の中にはちゃんと茶葉が入っています。
これを密封して、冷暗所(冷蔵庫)で最低3日。
より良い香りを楽しむには2週間ほど待てば、インスタント蓮茶のできあがりです。
このインスタント蓮茶は、お土産としてお持ち帰りできますよ
ちなみに、スーパーなどで安売りされているのは、さらに簡易的に作られたもの。
普通の茶葉に、蓮の花びらを混ぜたものや、ジャスミンティーを作る要領で花びらと茶葉で香り付けしたもの、はたまた人工香料を使ったもの。
ばら撒きようのお土産にはぴったりですが、味や風味は全然違います。
どうしても、お安いものは渋みが出やすく雑味もあります。
香りも、本来のそれとは全く異なるもの。
大量生産ものだけを口にして、「ベトナムの蓮茶って大したことないね」という感想につながってしまうのは、ちょっと残念だなぁ・・・と思うので、ぜひ一度は本物の味を味わっていただきたいと思うのです
さてさて!
体験できるのは、なんとここまで!(笑)
この後、茶葉と合わせて香りを移して・・・というのは、また長い期間(1日じゃ到底無理)をかけて行う作業なので、この、「香りの元」を用意するのが体験レッスンの内容でございました。
作業が終わる頃には・・・
▼こんなサプライズが!!
なんと、蓮の花びらで作った巨大なハート
軽く、2〜3人はハートの中に座れてしまう大きさです。
可愛らしい奥様Yenさんに促され、三十路女が二人、仲良く恥をかき捨ててお花に埋もれた写真を撮ってもらいました
また、こちらのヒエンミンティーさんでは、事前予約でビーガン料理のランチをいただくことができます。
一食70,000ドン。
今回は、予約なしで急にお願いしたので、「とてもシンプルでごめんなさい〜」とのこと。
そのランチが・・・
▼こちら
たしかに、シンプル(笑)
オーガニック野菜のフォーとバナナの花のサラダ。
フォーは、日本の「にゅうめん」のよう。
人参、おいも、かぼちゃにお豆がやわらかく煮込まれています。
お味噌をちょっと混ぜたらほうとうになりそうなお味。
かなり薄味ですが、「ザ・体にやさしい食事」といった印象で、心なしか食べ方も丁寧になります(笑)
こちらのオーナー夫婦はヴィーガンらしく、普段からこのような食生活を送っているとのこと。
食材は、毎週奥様のご実家から送られてくるオーガニック野菜。
予約をすれば、手間暇かけて作ったオーガニックの黒米を中心に、これまたオーガニック野菜のお料理が美しく並びます♪
大切に作られたお野菜に料理、そしてお茶。
なんとも、自分の体をいたわっているような気分になれます。
このランチ、私たちは2階の小部屋でのんびりいただいたのですが・・・
▼窓の外にはミツバチ
▼拡大っ
ベランダでは蓮茶を作る工程で出てきた諸々の残骸が天日干しされていました。
ミツバチさんたちは、雌しべに群がって一生懸命花粉を集めていたのでございます。
繰り返しになりますが、蓮には捨てるところがありません。
先ほどの作業で残った花托と雌しべも、このように天日乾燥させて使うそう。
みなさんご存知のレンコン。
蓮の根、ですよね。食用になります。
また、蓮の茎は、この国ではサラダやスープなどに入れていただくんですよ。
甘辛い、酸味のある味付けにされたサラダは、女性に大人気のベトナム料理です。
そして、お花。
もちろん、観賞用として楽しむのは基本中の基本ですが、大きな花びらは化粧品などに加工できるそう。
ベトナムでは器として使うこともあります。
そして、内側の柔らかく小さなお花はお茶に。
若い花托部分は漢方に。
大きく花開いた後の花托からは、「蓮の実」が取れます。
砂糖漬けや乾燥させたものはお茶請けとして。
生のものを茹でたり蒸したりして、普通にお料理にも使います。
さらにさらに、蓮の実(種)の中にある芽のような芯。
これはとても苦いのですが、こちらも漢方になります。
花托の周りにある雌しべは花茶にしていただけますし、雌しべの先にある、先ほどの白い部分は伝統製法の蓮茶に使われる…。
蓮の葉は、お米を包んだりラッピングに使ったり、これまた漢方茶になったりと大活躍。
本当に、捨てるとこのない貴重な植物です。
ちなみに。
▼雌しべのお茶
体験中に色々とお話していた中で、「雌しべのお茶が甘くて美味しいのよ〜〜」と聞き、それはぜひ試してみたい!!とお願いしました。
大きな茶葉の紅茶に、ベランダで乾燥させていた雌しべをポンポンと入れて・・・熱々でいただきます。
これが、たしかに!たしかに蜂蜜のような甘みのあるお茶に!!
砂糖やはちみつを入れたような「ガツンとくる甘さ」ではなく、花の香りの、やさしい自然な甘みになるのが特徴。
これは、美味。
新鮮な蓮の花を扱う人だけが楽しめる、贅沢なフレーバーティーでございます。
さて、そんなこんなで朝9時からトータル5時間も居座ってしまった私たち。
▼なんとも居心地の良い店内
作り込み過ぎない、素朴な茶館。
とてもゆつたりとした、良い時間が過ごせました。
各お値段は以下のとおり。
ハス茶作り体験:お一人500,000VND。
ヴィーガンランチ:一食70,000VND。
体験料は、ベトナムにしてはかなりお高めの設定ではありますが、ご主人の淹れるお茶と自家製のお菓子がゆっくりと楽しめて、なかなかできない「ハスの花を剥きまくる」体験もでき、手土産まで持たせていただけるフルコース。
ベトナム文化や茶文化にご興味のある方には、是非ともオススメしたい体験レッスンです。
体験レッスンは、朝9時からで要予約。
今の時期は、茶館の皆さん総出で茶作りに勤しんでいらっしゃいますので、本来ならば体験レッスンをするのはとても大変なはず。
また、お茶に関する説明は奥様がご主人のベトナム語を通訳する形で行われますので、お二人が揃ってお店にいらっしゃる時のみ受け入れ可能です。
ヴィーガンランチも、その時々の材料や仕込の状況により提供が難しい時もあるそう。
体験やランチご希望の方は事前にご予約・ご相談の上お邪魔すると良いかと思います。
▼ご主人の理念がギュッと詰まった掛軸
ハス茶作りの工程を見学するだけなら、旧市街にある有名店Huong Sen(フオン・セン)さんや、タイ湖周りの何軒かでも見せていただけます。
ただ、今のところ雰囲気や体験、茶藝込み込みで楽しみたいなら、こちらのHien Minh Teaさんが最高
+++カフェ情報+++
Hien Minh Tea
(ヒエンミエンティー)
ADD: 78 Ngo 178, Hoang Hoa Tham, Ba Dinh, Hanoi
TEL: 091-534-4435 / 093-625-1122
Open: 7:30 – 22:00※19時ごろ閉店の日も有
HP:有
※スケッチ記事提示で、体験時間以外のドリンク10%off特典有り